
札幌トヨタには、1000名の社員全員が常に持ち歩いている栞がある。会社方針などが印刷されたその栞は、社内の意識統一の一環として作られた。しかしその当時は、「環境方針」「CSR宣言」「自動車事故防止心得」など、栞が複数で1セットだったことから、紛失や破損が多かった。そこで札幌トヨタは、そうした問題を解消するべく、新しい栞の制作を迷わず幡本印刷に依頼した。その経緯と効果について、総合企画室の興村様に詳しくお聞きした。
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--- 札幌トヨタの業態を教えてください。
ご存じのように、主な業務は自動車の販売と修理です。 社内には、営業、自動車の修理・点検、それに事務の社員がいます。営業は、ショールームでの接客もありますが、やはりお客様を訪問するのがメインです。
と言いますのも、当社ではクラウンなどの車種を扱っている関係で、会社法人のお客様が多くいらっしゃいます。そのため、会社を訪問してお話させていただくほうが多いですね。
--- 今回、幡本印刷に依頼した印刷物とは、どのようなものでしょうか。
幡本さんには、2008年の12月に、カードサイズの「社員必携」栞を作ってもらいました。ここには社訓、環境方針、CSR宣言(※1)、自動車事故防止心得などが載っています。
当初、こちらの要望は、バラバラにあった「環境方針」、「CSR宣言」、「自動車事故防止心得」という3種類の栞を、見やすくひとつにまとめてほしいということだけでした。
しかし幡本さんと内容を検討するうちに、「これまでポスターとして貼っていた、「社訓」や「会社方針」も入れたほうがいいのではないか」という話が出て、このようになりました。
おかげで今は、「札幌トヨタの中に何があるか、これひとつで分かる栞」になりました。これを1000名の社員全員が、常に携行しています。
(※1) CSR(Corporate Social Responsibility)とは、「企業の社会的責任」のこと。企業が自社の利益を追求するだけでなく、社会に対してどのような責任を果たしていくのか、近年、その意志表明が注目されている。
--- そもそも、「社員必携」栞を作ろうと思ったきっかけはなんでしょうか。
以前の栞が、不便だったからです。 と言いますのも、私たちは日頃、朝礼やミーティングのときに、こういった栞の読み合わせをしています。以前は、そのたびに異なる栞を取り出さなければなりませんでした。
それに、各々が数種類の栞を持っていると、そのうち紛失するんですよ。その上、頻繁に出し入れしていると、ラミネート加工の栞は縁から破れていきます。そうなると、そのたびに作り直さなければなりません。
こうした印刷物は私の部署で管理していますが、「なくなった」「汚れがついてきた」「破損した」という理由で、新たに送ってほしいという依頼が各店舗から頻繁にありました。
こうした不便さを解消するために、バラバラだった栞をひとつにできないか。そう思ったわけです。
--- 当初、3種類の栞(「環境方針」、「CSR宣言」、「自動車事故防止心得」)をまとめればよかったはずです。なぜ、それ以外の情報も掲載することになったのでしょうか。
幡本さんと掲載内容を相談している中で出たアイディアだったからです。
「社訓」や「会社方針」をポスターで貼り出したとしても、全員が必ず目にするとは限りません。社訓はどこの営業所でも、額に入れて飾ってありますが、ほとんど見る機会のない社員もいる。そうした状況があったので、それならば、ぜひ栞に入れてしまおうということになりました。
--- 情報量が増えると、カードサイズでは読みにくくなりませんか。
いいえ、広げやすい形なので、非常に見やすいですよ。
それに、幡本さんには文字の大きさ、書体、色なども、読みやすいように工夫してもらいました。いろいろな組み合わせで見本を作ってもらった中から選んだので、読みやすいうえに、デザインも洒落ていて、満足しています。
--- 耐久性の面では、どのような対策をされたのでしょうか。
以前のようなラミネート加工は壊れやすいので、使いたくありませんでした。そのため今回は、違う方法がないかと考えてもらいました。幡本さんから提案してもらったのは、「PP貼り」(※2)という加工です。
--- 「PP貼り」で耐久性はクリアできたとして、紛失しやすい面はいかがですか。
「クレジットカードと同じ扱いにすれば、紛失しない」という幡本さんからのアドバイスに従って、カードサイズにしました。名刺入れにそのまま入ってしまうので、やはり楽ですよ。名刺入れと言えば、営業、修理、事務、どの社員でもみんな持っているものですから。
(※2)「PP貼り」とは、印刷物の表面にポリプロピレンの膜を貼る表面加工のこと。強度が高まるだけでなく、表面にツヤが出るので見栄えも良くなる。
--- この栞は「会社方針」の部分がシールになっているのが面白いですね。
今は平成21年度の会社方針のシールを貼っていますが、平成22年度になったらこれを剥がして、新しく印刷したシールに貼り替えます。
会社方針は毎年変わるものなので、当初は、そのたびに栞全体を作り変えなければ駄目だと思っていました。ですが、幡本さんから「そんなことはしないで、こういったシールがありますから、会社方針だけ作ることにしましょう」と言ってもらったんです。
--- シールの部分だけ作り変えるのでは、どれくらい経費が抑えられるのでしょうか。
10分の1です。本来、印刷会社としては、毎年すべてを作り直したほうが、売上になるはずでしょう。それをしないで、私たちのコストダウンを第一に考えてくれたこと、これは非常に助かりました。
--- 社内での評判はいかがですか。
やはり、ひとつで完結しているので、見やすくて便利と言う声があります。配布して2か月が経ちますが、まだ紛失したという声は聞きません。
それに、営業のスタッフが言うには、お客様のところで話題になっているみたいですよ。特に若いスタッフは、お客様のところへ行っても、なかなか会話が続かないものです。「クルマ買ってください」「カタログを見てください」と言うのは、営業でもなかなか難しい。そんな時、「札幌トヨタでも、こんな風に環境について考えています」と言ってこの栞をお見せすると、そこから話題が広がるようです。
--- 思わぬ効果があったということですね。
そうです。ただし、「栞の文言をある程度覚えて、理解していないとだめですよ」とは、よく若い人たちに言っておきます。持っているだけでは、話題になるとはいえ、そこで会話は途切れてしまいますからね。
--- 発注前に、他社と比較されましたか?
いいえ、今回の栞に関しては、比較しませんでした。
--- それは、なぜでしょうか。
2002年に「環境方針」のみの栞を作ってもらった経緯があり、幡本さんに任せておけば、大丈夫だということが分かっていたからです。
当時、お付き合いしていた別の印刷会社は、印刷物を依頼すると、いつも頼んだとおりの案を「これどうですか?」と、ひとつだけ持ってくるんです。「どうですか」と言われても、こちらとしては比較しようがありません。そこで、デザインのセンスが良くて、小回りのきく印刷会社を知らないかと言って、他の部署から紹介してもらったのが、幡本さんでした。
--- 「小回りがきく」とは、どういうことでしょう。
たとえば、幡本さんはいつも複数の案を出してくれます。今回、「社員必携」栞とほぼ同時期に作成してもらった「環境方針」のポスターでは、パターンや色を試行錯誤したので、最終的に見本の数は10以上あったかもしれません。そのおかげで、いつも一番好みのものを選べます。
--- 幡本印刷の提案力が気に入ったということですか。
それだけではありません。こちらの言ったことにすぐ反応してくれるかどうかも重要でした。例えば、社内で検討するたびに、デザインへの要望が変わることは、しょっちゅうありますからね。
以前、大手の広告代理店に印刷物を頼んだこともありましたが、大手だと、企画に取りかかってから案が出てくるまでに時間がかかる。
その点、幡本さんの対応は早かったですね。朝、修正箇所をお伝えすると、翌日には修正して、すぐ来てくれる…ということが何度もありました。
対応が早いと、安心して任せられます。お任せしている間、私たちは本業に専念できるわけですから。
これを、例えば私が中心になり、若手をピックアップして、掲載内容やデザインを一から考えようとすると、人件費だけで大変なことになります。その上、最終的には印刷を頼むことになるので、全体的なコストを考えると、今の3倍も4倍もかかってしまう。事実、私たちがやったとしても、こんなデザインは出てこないですよ。
--- 今後、幡本印刷への要望などはありますか。
社内には、ポスターなどまだまだ沢山の掲示物があります。今後はそれらのサイズを統一していこうと考えています。縮小版にしても情報量が減らず、かつ、訴求力のあるものを、幡本さんにはお願いしたいなと思っています。
--- お忙しい中、ありがとうございました。
取材日 2009年2月
取材 株式会社WEBサクセス
【 今回の制作を振り返って 】
「社員必携」栞は、いかに「見やすく」「使いやすく」するかを考えて、カードサイズのジャバラ折りをご提案させていただきました。当初は「W(ダブル)」の形を想定していたのですが、掲載したい情報がひとつ増えるたびに紙も増え、最終的には3山のジャバラ折りになりました。また、選択肢はたくさんあったほうが良いと思いますので、文字の大きさ、ちょっとした色使い、書体などを変えて見本を作成し、その中から選んでいただきました。
私たちは印刷会社とはいえ、お客様に無駄な印刷をしていただきたくありません。そこで、会社方針をシールにする方法をお勧めしました。栞にシールを貼ったとき、ちょうど3ミリずつ両端に余白ができるように作ってあるので、剥がす際も簡単です。「PP貼り」にすると、表面がつるつるします。ですので、シールを貼るにも最適でした。便利になったと言っていただけて、大変嬉しいです。